タイトル | : 深くて暗い海の底 |
記事No | : 33 |
投稿日 | : 2013/11/24(Sun) 15:48:57 |
投稿者 | : muraφ |
少し前になるが、科博の「深海展」を見に行った時、豊富な試料とすばらしいディスプレイに驚き…ながらも、かすかな違和感を感じて帰ってきた記憶がある。 この違和感の正体が何であったか、今日気がついた。 すなわち、深海底熱水孔が生命の発生の場であるらしいと言う仮説と、そこに生息している生き物のギャップである。 ユノハナガニやオハラエビなどは普通に食卓で見られる海老蟹と異なるところはないし、ハオリムシも異形とは言えゴカイに近い生物。言わば「現世生物」たちなのである。 生命の進化は原始細胞から始まり、細菌・光合成細菌のような棚細胞体制を経て、多細胞生物を生み出していったのは異論の余地がないところである。 もし深海底が、地球表面近くのような大きな環境変化が無いのであれば、カンブリア紀の怪物たちとか、それより更に古い体制の生物が住んでいても良さそうなもの。いや、住んでいて欲しかった。 結局深海底といえど絶え間なく他所からの生物の流入があり、熱水孔に適応したオパビニアやウィワクシアも生存競争に敗れて絶滅したと言うことであろう。何だか悲しいことであるが、原生型の生物がどのようにして、熱水孔でのニッチを奪うこと成功したのか、これはこれで興味深いところではある。 まあ、人類はまだ深海底の全てを探索した訳ではないので、「古きものたち」と対面できる可能性が消えた訳ではない。 …待て、そして希望せよと言ったところか。
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